ETC2.0って何 ?
ETC(Electronic Toll Collection System)は、電子料金収受システムであり、高度道路交通システムのひとつです。高速道路など有料道路を利用の際に、料金所で停車することなく料金の支払が可能です。
ETC専用のインターチェンジも近年増加し、ETCの普及率も高まっています。料金収受のみでなく、道路情報と連動して渋滞情報や、一般道の道の駅利用の際に一時退出を可能にするなど、さまざまなサービスが受けられるETCが「ETC2.0」です。
今回は、ETC2.0について、通常のETCとの違いやメリットについて詳しく紹介します。
従来のETCとETC2.0の違い
ETCは、1994年に道路公団と当時の建設省が研究開発を始め、2001年11月末に高速道路での一般利用が開始されました。
2022年6月のETC利用率は94.1%(ETC2.0の利用率は28.7%)で、高速道路を利用する多くの車にETC車載器が搭載されています。
ETC2.0の利用率は全体の1/4強ですが、今後車の乗り換えと共に普及が進むと予想されます。
従来のETCは料金の収受サービス、ETC割引のみですが、ETC2.0には利用者にとって便利なサービスが追加されます。
参考:国土交通省 ETCの利用状況
・道路交通情報サービス
ETC2.0では、全国高速道路の約1,700箇所に設置されたITSスポットで車載器が情報を蓄積し、音声案内により渋滞情報や事故情報、予想される所要時間などを案内します。
ETC2.0対応のカーナビを利用の場合には連動することで、渋滞箇所の回避、案内ルートの変更など行います。
・一時退出で道の駅の利用が可能
高速道路のパーキングエリア不足解消に向けた社会実験が行われています。
高速道路で休憩施設の間隔が概ね25km以上離れている空白区間が約100箇所存在しています。
休憩施設不足を解消し、より良い運転環境の実現のため、インターチェンジから2km以内の道の駅で、ETC2.0搭載車のみ高速道路から一時退出しても、目的地まで高速道路を降りずに利用した時と同じ料金とするサービスを提供しています。
2022年時点で、北海道を除く全国23箇所で実施しており、今後新たに増やす予定です。
ETC2.0搭載車であること、道の駅に必ず立ち寄ること、対象のインターチェンジから2時間以内に同じインターチェンジから再流入することが条件です。
来た方向へ戻ったり、2時間(変更になる場合あり)を超えて退出していた場合は対象外となります。
例えば、北陸道新潟西インターチェンジから名神高速京都南インターチェンジまで利用の場合、親不知ピアパーク(新潟県糸魚川市)とアグリの郷栗東(滋賀県栗東市)の道の駅が利用可能です。
・通行料金割引サービス
都市部の渋滞緩和を狙って通行を推奨する圏央道と、東海環状自動車道で、ETC2.0車載器搭載車に限り通行料金の割引サービスを実施しています。
料金所の料金表示やETC車載器、カーナビでは正規の料金表示ですが、後日カード会社等からの請求の際に、割引適用後の料金が記載されますのでご確認ください。
従来のETCは使えなくなるの?
従来のETCは2022年時点でも販売されており、使えなるなることはありません。
使えなくなるのは、旧スプリアス規格(2022年問題)のETC車載器と旧セキュリティ規格(2030年問題)の2つのパターンです。
・2022年問題とは?
2007年以前の旧スプリアス規格で製造されたETC車載器が利用できなくなる対象で、現在は新スプリアス規格が適用されています。
対象となる車載器は、ETCサービス開始初期の製品がほとんどであり少数です。三菱、古野電気、トヨタのETC車載器は全て対象外です。
スプリアスとは、無線設備から発射される電波の中で、所定の周波数から外れた不要な電波のことで、2005年の電波法関連法案で改正されています。
現在2022年ですが、新型コロナの影響もあり整備が遅れ「当面の間」利用可能となっています。
・2030年問題とは?
ETCのセキュリティ機能の向上を目的としたセキュリティ規格変更に伴い発生する問題が2030年問題と言われ、旧セキュリティ規格のETC車載器は遅くても2030年までに使えなくなる予定です。
2022年現在販売されている最新のETC車載器は、従来のETC車載器もETC2.0も新セキュリティ規格です。しかし、取付けて数年経過、新車で購入してから数年経過、中古車で元々搭載されていたなどのケースの場合、旧セキュリティ規格である可能性があり、早めの確認をおすすめします。
セキュリティ規格の見分け方は、
車載器管理番号の最初の数字が「1」なら新規格、「0」なら旧規格
ETCカード挿入口付近に「…」マークがあるなら新規格、「■」マークがあるなら旧規格
なお、2016年春から本格導入された新しいETC2.0でも「■」マークがある車載器もあり、ETC2.0でも注意が必要です。
今後導入予定のETC2.0のサービス
ETC2.0では、走行予定ルートが取得されるため、渋滞情報を基に渋滞を避けたルートを走行した場合、料金が割り引かれるサービスが検討されています。所要時間や走行距離が長くなるデメリットを解消できるだけの割引が得られるかが今後の課題となります。
道の駅での休憩施設利用目的での一時退出は社会実験としてスタートしていますが、災害時や事故、給油目的などで高速道路を一時退出しても再進入時に、連続して利用した時と同料金となるサービスも検討されています。
道の駅以外の飲食店の利用も可能になり利用範囲が広がるメリットがあります。
ETC2.0は高速道路料金支払以外でのキャッシュレス決済に向けての検討も進められています。ガソリンスタンドや駐車料金のキャッシュレス決済にETC2.0の利用が可能になればより便利になります。なお、こちらはもう少し先になるでしょう。