スタッドレスタイヤを夏場に使用するのは大丈夫?
スタッドレスタイヤを交換するのが面倒だから、来シーズンは新しいスタッドレスタイヤを購入予定のため履き潰したいと考え、次の冬が到来するまでスタッドレスタイヤを使用したい方も少なくないでしょう。
スタッドレスタイヤで乾燥路面を走行しても違反ではなく問題ありません。しかし、夏場に使用することで、ノーマルタイヤに対してデメリットも多く、知らずに使用すると思わぬ事故やトラブルに遭遇する可能性があります。
今回は、スタッドレスタイヤを夏場に使用するメリットとデメリット・注意点についてわかりやすく紹介します。
スタッドレスタイヤを夏場に使用するメリット
スタッドレスタイヤには、50%の摩耗時に現れる「プラットホーム」とノーマルタイヤ同様残り溝1.6mmで現れる「スリップサイン」があります。
プラットホームがタイヤのトレッド面と同じ高さになった場合、冬タイヤとしての使用限界を示します。ただし、スリップサインが現れるまではノーマルタイヤとして使用が可能です。
・毎年スタッドレスタイヤを購入するケース
営業車など走行距離が多く、毎年スタッドレスタイヤを購入する場合、夏場にも使用して履き潰してしまうことで、夏タイヤを購入する必要がありません。
高速走行を行わない場合はメリットがあります。
・来シーズンにスタッドレスタイヤを購入するケース
スタッドレスタイヤが劣化してきている、年数が経過しているなどの理由で、来シーズンに新しいスタッドレスタイヤの購入を検討している場合、そのまま夏場に使用することで、タイヤ交換の手間と費用、夏タイヤの摩耗を抑えることができます。
スタッドレスタイヤを夏場に使用するデメリット
スタッドレスタイヤを夏場に使用するメリットよりもデメリットをしっかり把握することが重要です。
スタッドレスタイヤを夏に使用することは可能で、スリップサインが1つも現れていない場合違反にはなりません。
スタッドレスタイヤは、氷点下でも硬くなりにくい柔らかいゴムを使用しているため、暑い夏場ではさらにゴムが柔らかくなり減りやすくなります。
溝が深いスタッドレスタイヤは、カーブでのロール(ふらつき)が大きくなります。
ゴムが柔らかく減りやすいため、夏に高速走行や長距離走行を多用する場合は、摩耗を早めます。
SUVやミニバンなど背の高い車種の場合、トレッド面の外側だけすり減り、極端に扁摩耗した結果、バースト(破裂、パンク)する可能性が高くなります。
夏場のスタッドレスタイヤで高速走行はできるだけ避けることをおすすめします。
ノーマルタイヤと比較して、ゴム質がやわらかいスタッドレスタイヤは、ブレーキの効きが悪くなります。急ブレーキで夏タイヤなら衝突を回避できたケースや被害軽減出来たケースもあります。
雪道に強いスタッドレスタイヤは、濡れた路面に効果的と思う方も多いかも知れません。
しかし、氷の表面の水分を吸収してグリップ力を高めるスタッドレスタイヤは、ウエット路面では水分を吸収し過ぎてしまいます。
結果ノーマルタイヤよりも制動距離が伸びますので注意が必要です。
また、雨の日はハイドロプレーニング現象に注意が必要です。
ノーマルタイヤよりも低速で、タイヤが路面の水に浮き、ハンドル操作が出来なくなるため、雨の高速走行は極力控えましょう。
スタッドレスタイヤは燃費が悪い
スタッドレスタイヤは、溝が深く転がり抵抗が大きいため燃費が悪くなります。
筆者のワゴンR(MH55S)の実燃費は、ノーマルタイヤでは14km/L、スタッドレスタイヤでは12km/Lです。市街地メインのため燃費が悪いのはご了承ください。
ガソリン1L160円を想定し、5,000km走行した場合のガソリン代は、ノーマルタイヤの時で約57,120円、スタッドレスタイヤの時で約66,560円、その差額は約9,440円です。
春から秋にかけて1万km走行する場合は、その倍になることから、約2万円ガソリン代を多く支払うことになります。
普通車やミニバンなど、燃費が悪い車ほど差額が大きくなります。
オールシーズンタイヤの選択もアリ!?
近年、降雪量が少ない地域でオールシーズンタイヤを選ぶ方が増えています。
オールシーズンタイヤは、ドライ路面での走行性能と、アイスバーンを除くちょっとした積雪路なら走行可能なタイヤです。
冬タイヤ規制の高速道路等での走行も可能で、タイヤ交換も必要ありません。
まとめ
スタッドレスタイヤを夏場に使用しても、スリップサインが現れていない場合、違反になりません。
タイヤ交換の手間を省ける、ノーマルタイヤを購入しないメリットがあります。
スタッドレスタイヤは、ゴム質がやわらかく、カーブでのふらつきが大きい、扁摩耗のリスク、ブレーキの効きがノーマルタイヤよりも悪いデメリットがあります。
燃費が悪く、営業車として利用するなど、走行距離が多い場合は、ガソリン代の出費が増えることでメリットが無くなることもあります。
スタッドレスタイヤの特性を十分に理解し、無理のない運転、高速走行をしない、走行距離が少ない場合、夏場のスタッドレスタイヤ使用でも問題ありません。